トランプ前大統領 NY州大陪審が起訴 4日にも出頭の可能性
2023年3月31日 12時32分 トランプ前大統領
アメリカ・ニューヨーク州の大陪審は30日、トランプ前大統領を起訴しました。罪状は明らかになっていませんが、大統領経験者が起訴されるのは史上初めてです。
アメリカの複数のメディアはトランプ氏の弁護士の話として、来週4日にもトランプ氏が出頭要請に応じる可能性があると伝えています。
“大統領経験者の起訴 史上初めて”
アメリカ・ニューヨーク州、マンハッタン地区の大陪審は30日、トランプ氏を起訴しました。
罪状は明らかになっていませんが、トランプ氏をめぐっては、トランプ氏と不倫関係にあったと主張するポルノ女優に口止め料が支払われた問題について、検察が捜査を進めていました。
アメリカメディアによりますと、大統領経験者が起訴されるのは史上初めてだということです。
また検察は「トランプ前大統領の弁護士と連絡をとり、起訴された罪について罪状認否のためのトランプ氏の出頭について調整を始めた」と発表しました。
アメリカの複数のメディアはトランプ氏の弁護士の話として、来週4日にもトランプ氏が出頭要請に応じる可能性があると伝えています。
起訴されたことについてトランプ前大統領は声明を発表し「これは歴史上最大の政治的迫害と選挙への介入だ。民主党は、完全に無実な人間を起訴するという考えられないことをやった。この魔女狩りはバイデンにとてつもない形で跳ね返ってくるだろう」としています。
トランプ氏は、来年行われる大統領選挙への立候補を表明していて、今後の選挙戦やアメリカ政治にどのような影響が出るのか注目されています。
トランプ氏めぐり別の捜査も進む
トランプ氏をめぐってはこのほかにも司法当局による捜査が進められています。
司法省は去年11月、特別検察官を任命し、
▽南部フロリダ州のトランプ氏の自宅から最高機密を含む複数の機密文書が見つかった問題や、
▽2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件への関与について捜査を続けています。
またトランプ氏が3年前の大統領選挙で敗れた南部ジョージア州の結果を覆すよう、州当局に圧力をかけた疑いでも州の検察が捜査しています。
トランプ前大統領が声明「歴史上最大の政治的迫害」
トランプ前大統領は声明を発表し「これは歴史上最大の政治的迫害と選挙への介入だ。民主党は、完全に無実な人間を起訴するという考えられないことをやった。この魔女狩りはバイデンにとてつもない形で跳ね返ってくるだろう」としています。
また、自身が関係する企業が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し「これはかつてない規模の国家に対する攻撃だ。自由かつ公正だった選挙に対する継続的な攻撃でもある。アメリカは今や三流国家だ」として強く反発しています。
共和党 マッカーシー下院議長「先例のない権力の乱用」
野党・共和党のマッカーシー下院議長はツイッターに投稿し「大統領選挙への介入の試みであり、われわれの国に取り返しのつかない損害を与えた」として、トランプ前大統領と不倫関係にあったと主張する女性に口止め料が支払われた問題について捜査しているニューヨーク州のマンハッタン地区の検事、ブラッグ氏を強く批判しました。
その上で「アメリカ国民はこの不当な行為を許容することはない。議会下院は、ブラッグ氏の先例のない権力の乱用の責任を追及する」と対決姿勢を示しました。
裁判所前はものものしい雰囲気
ニューヨーク、マンハッタンにある裁判所の前には、トランプ前大統領の起訴のニュースを受けて、多くのメディアが集まっています。周辺には多数の警察官が警戒にあたり、ものものしい雰囲気となっています。
トランプ氏の弁護士も起訴認める
トランプ氏の弁護士はアメリカの複数のメディアに対し起訴されたとの連絡は受けていると認めたうえで罪状については現時点で知らされていないと話しています。
また、アメリカのニュースサイト ビジネスインサイダーは、弁護士が「ほかの事件と同様、私たちは最初から闘うつもりだ。即座に、積極的にこの誤った判断と闘う」と述べたと伝えています。
来年の大統領選挙への影響は
トランプ氏の起訴が伝えられたことを受けて、すでにトランプ氏自身が立候補を表明している来年の大統領選挙への影響が注目されています。
アメリカのメディアは、起訴されたり、今後、仮に有罪になったりした場合でも、立候補自体は可能だとの見方を伝えています。
背景にはアメリカの憲法が大統領になる要件について、アメリカ生まれであることや35歳以上であること、14年間以上アメリカに居住していることなどとし、犯罪歴などが制約になると明記していないためです。
トランプ氏自身も3月、司法当局からの捜査で起訴された場合について「選挙戦からおりる考えは毛頭ない」と述べ、立候補の意思に変わりはないと強調しています。
また、支持者やトランプ氏の求心力に与える影響についても大きな関心が集まっています。
トランプ氏をめぐっては、岩盤支持層と呼ばれる熱狂的な支持者が数多くいるとされています。2021年、連邦議会にトランプ氏の支持者らが乱入した事件を受けて、歴代大統領で初めて任期中に2度目となる弾劾訴追をされた際や、自宅から機密文書が見つかった問題で司法省による捜査を受けても、岩盤支持層が大きく離れることはありませんでした。
その一方で、去年秋の中間選挙でトランプ氏が推す候補者が激戦州で相次いで敗れ、求心力の衰えを指摘する声がもともとあることに加え、大統領経験者として史上初めて、起訴されたと伝えられたことを受けて、穏健な共和党支持層などの離反を招く可能性もあります。
松野官房長官「コメント差し控えたい」
松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「報道は承知しているが、他国の内政に関わる事項についてコメントすることは差し控えたい」と述べました。
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